『VIVANT』を見ていて、私が一番切なく感じたのが、乃木憂助と父・ベキの親子関係です。
最初は、まさかテントのリーダー・ノゴーン・ベキが乃木の父親だなんて思いもしませんでした。
しかも、乃木が追っていた「テント」のリーダーが、実の父親だった。
「なぜ父親がテロ組織のリーダーになったの?」
「ベキは乃木ことを愛していたの?」
「乃木は本当に父親を殺したかったの?」
見ているうちに、どんどん疑問が出てきます。
そして何より苦しいのが、乃木が最後には自分の父親であるベキに銃を向けること。
父親を追い続けて、ようやく再会できたと思ったら、今度は敵として対峙する。
こんな運命ってあるのかな……と思ってしまいました。
この記事では、『VIVANT』乃木とベキの親子関係について、2人の過去や再会、乃木がべキを撃った理由、そしてベキが乃木に向けていた本当の思いを考察していきます。
※この記事には『VIVANT』第1シーズンおよび第2シーズンのネタバレが含まれます。
『VIVANT』乃木とベキは本当の親子?
結論から言うと、乃木憂助とノゴーン・ベキは実の親子です。
ベキの本名は乃木卓。
乃木卓は、かつて日本からバルカへ渡り、現地で妻の明美と暮らしていました。
その後、過酷な出来事によって家族と引き離され、長い年月を経て「ノゴーン・ベキ」としてテントを率いる人物になります。
一方、息子の憂助は日本へ戻され、別の人生を歩むことになります。
つまり親子でありながら、長い間まったく違う場所で生きてきたのです。
TBS公式でも、ノゴーン・ベキは「乃木憂助の父親」であり、「テントの指導者」として紹介されています。(TBS↗)
乃木とベキが離れ離れになった理由
乃木とベキの関係を理解するには、乃木卓がまだ「ベキ」になる前の人生を知る必要があります。
乃木卓は日本からバルカへ渡り、家族と暮らしていました。
しかし、バルカで大きな混乱に巻き込まれ、家族と引き裂かれることになります。
幼い憂助も父親と離れ離れになり、その後、日本へ戻ることになります。
父親からすれば、
「息子を守れなかった」
という強烈な後悔が残ったのではないでしょうか。
一方の憂助にとっては、
「父親に捨てられた」
ようにも感じられる状況でした。
ここに、親子の大きなすれ違いが生まれてしまったのだと思います。
ベキはなぜ「テント」を作ったの?
ここが乃木とベキの親子関係を考えるうえで重要なところです。
ベキは単純な「悪のテロリスト」ではありませんでした。
テントはテロや犯罪行為によって得た資金を使い、バルカの孤児たちを救っていたことが明らかになります。
つまり、ベキにはベキなりの「守りたいもの」があった。
TBS公式の第9話あらすじでも、テントが犯罪行為で得た資金によってバルカ国内の孤児たちを救っていたとされています。(TBS CU↗)
私はここを知ったとき、
「ベキは本当に悪い人なのかな?」
と思いました。
もちろん、テロや犯罪を正当化することはできません。
でも、ベキの行動の根底には、家族を守れなかった苦しみや、バルカで生きる人たちへの思いがあった。
そう考えると、ベキという人物が一気に複雑に見えてきます。
ベキは乃木を愛していた?
私は、ベキは乃木をずっと愛していたと思っています。
ただ、その愛情を素直に伝えることができなかった。
これが、乃木とベキの親子関係の一番切ないところではないでしょうか。
ベキは長い間、憂助が生きていることを知らない状態にありました。
そして再会したとき、乃木が自分の息子だと分かります。
普通なら抱きしめたい。
「生きていてよかった」と言いたい。
でもベキは、それだけでは済まされない立場にいました。
テントのリーダーとして生きてきた自分。
そして、別班の諜報員として自分を追ってきた息子。
親子なのに、敵と味方になってしまった。
これほど悲しい関係はないと思います。
乃木はなぜ父・ベキを撃ったの?
『VIVANT』の中でも特に衝撃だったのが、乃木がベキの銃を向ける場面です。
「父親を見つけたのに、なぜ撃つの?」
と思った人も多いのではないでしょうか。
でも、乃木には別班員としての使命があります。
日本を守るために動いてきた乃木にとって、ベキは「父親」であると同時に、テントのリーダーでもあります。
つまり、
父親のベキ
と
テントのリーダーとしてのベキ
の両方を見なければならなかった。
ここが乃木の一番苦しいところだったのだと思います。
TBS公式も、前作について「テントのリーダーであるノゴーン・ベキは、生き別れた実の父親」であり、乃木が「自らの手で、ベキを暗殺することになる」と紹介しています。(TBS↗)
乃木は本当にベキを殺したかったの?
私は、乃木は本当の意味では父親を殺したかったわけではないと思っています。
乃木がベキに銃を向けたとき、その表情を見ると、単純な憎しみだけでは説明できないものがあります。
父親への愛情。
幼い頃に置いて行かれた悲しみ。
自分を守ってくれなかったという怒り。
そして、父親を止めなければならないという使命。
色々な感情が入り混じっていたのではないでしょうか。
だからこそ、あの場面は「父親を撃つ息子」というだけではなく、
「父親を愛してるからこそ、父親と戦わなければならない息子」
の姿だったように私は感じました。
ベキもまた、乃木を撃てなかった
乃木とベキの関係で忘れてはいけないのが、ベキ側の気持ちです。
ベキは乃木を息子として見ていた。
だからこそ、乃木に対して単純に敵として接することができなかったのではないでしょうか。
乃木が別班員であることを知りながら、親子としての感情が残っている。
ここにベキの人間らしさが出ていると思います。
「自分を裏切った息子」ではなく、
「ずっと会いたかった息子」
として見ていたのではないでしょうか。
乃木とノコルの関係がさらに親子関係を複雑にする
乃木とベキを考えるとき、もう一人忘れてはいけない人物がいます。
それがノコルです。
ノコルはベキのもとで育った「息子」のような存在。
一方、乃木はベキの実の息子。
ここに、
血のつながった息子・乃木
と
長年ベキと共に生きてきた息子・ノコル
という関係が生まれます。
だからこそ、ノコルにとって乃木は簡単に受け入れられない存在でした。
「自分がずっと父親のそばにいたのに、突然現れた実の息子」
なのです。
第8話はTBS公式でも「父と二人の息子の宿命」がテーマとして紹介されています。乃木、ベキ、ノコルの3人の関係が、物語の重要な軸になってきました。(TBS↗)
血のつながりと、一緒に過ごした時間
ここが『VIVANT』の親子関係で、私が特に考えさせられたところです。
親子って、血がつながっているだけではないですね。
一緒に過ごした時間。
一緒に苦労した時間。
「あなたのためなら頑張れる」と思える気持ち。
そういうものも親子の絆になると思います。
ベキのとって乃木は、血のつながった実の息子。
そしてノコルは。自分のそばで長い時間過ごしてきた息子。
だからベキは、どちらか一人を簡単に選べなかったのではないでしょうか。
乃木が父親を理解できた瞬間
物語が進むにつれて、乃木は父親の過去を知っています。
なぜベキがテントを作ったのか。
なぜ孤児たちを助けているのか。
なぜ日本ではなくバルカで生きることになったのか。
そして、父親がどれだけ長い間、苦しみながら生きてきたのか。
それを知ったとき、乃木の中にあった「父親への憎しみ」だけではなく、「父親を理解したい」という気持ちも生まれたのではないでしょうか。
だからこそ、最後の決断が余計に苦しくなる。
乃木とベキの親子関係は「愛情」と「使命」の戦い
私は、乃木とベキの関係を一言で表すなら、
「愛情と使命の戦い」
だと思います。
乃木にとってベキは父親です。
でも同時に、別班として負うべき人物でもある。
ベキにとって乃木は息子です。
でも、自分が率いるテントを脅かす存在でもある。
どちら間相手を完全に憎むことができない。
それなのに、戦わなければならない。
だから、あの親子のシーンには普通の親子喧嘩とは違う重さがあります。
2026年の続編でベキと乃木の関係はどうなる?
ここは現在放送中の第2シーズンを見るうえでも重要なポイントです。
前作の最後で乃木はベキに弾丸を放ちました。
ところが第2シーズンでは、ベキの脱獄が物語の重要な要素になっています。
第12話では、乃木が別班拉致事件について調べる中で、バルカにいる弟・ノコルを訪ねています。(TBS↗)
さらに第14話では、乃木がベキの脱獄を実行した人物を追う展開になっています。(TBS↗)
つまり、
「ベキは本当に死んだのか?」
「乃木とベキはもう一度会うのか?」
「乃木は父親を今度こそ救うのか?」
という新たな疑問が生まれてきます。
前作では「父親を撃つ」というところまで描かれた二人の関係が、続編でどこへ向かうのか。
ここは今後の大きな見どころになりそうです。
私が感じた、乃木とベキの親子関係
『VIVANT』を見ていて、私はこの親子が「もっと早くに普通にい話せていたら」と思ってしまいました。
もし乃木が幼い頃に父親と離れ離れになっていなかったら。
もしベキが日本に戻ることができていたら。
もし二人が普通の親子として一緒に暮らせていたら。
きっと、全く違う人生になっていはずです。
でも現実には、二人は40年近く離れて生きてきた。
そして再会した時には、父親はテントのリーダー、息子は別班員。
親子なのに、立場が違いすぎる。
私はそこが一番切なかったです。
それでも、二人の間に親子としての愛情が残っていたこと。
そこが『VIVANT』の乃木とベキの関係の一番大きな魅力ではないかと思います。
まとめ|乃木とベキは敵になっても「父と息子」だった
『VIVANT』の乃木とベキは、長い間離れ離れになっていた実の親子です。
ベキはテントのリーダーとして生き、乃木は別班員として父親を追うことになります。
親子でありながら敵同士。
そして最後には、乃木が父親に銃を向けることになります。
でも私は、乃木はベキを憎んでいたから撃ったのではないと思っています。
そこには、
父親への愛情
幼い頃の寂しさ
父親への怒り
別班としての使命
すべてがあったのではないでしょうか。
だからこそ、乃木とベキの関係は単純な「善と悪」ではありません。
ベキも乃木も、それぞれの場所で生きるために戦ってきた。
ただ、親子として再会するのは、あまりにも長い時間が経ってしまった。
私は『VIVANT』を見て、
「親子の絆は、40年離れていても簡単には消えないんだな」
と感じました。
そして2026年の続編で、ベキの脱獄をきっかけに、乃木とベキの物語が再び動き始めています。
この二人が最後にどんな言葉を交わすのか。
そして乃木は、父・ベキを今度こそ救うことが出来るのか。
今後の展開から目が離せません。


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